講座の監修は横浜市立大学高橋寛人先生、司会は横浜市立大学の非常勤講師を務めている柳下換先生で、毎回話題提供者による事例発表をキッカケに、要点を整理しながら参加者全員で意見交換や質問などを交え、理解を深めようというものです。
講座の冒頭は柳下先生が、前回のセッションの中で特に難解だった言葉などを中心に、キーワードを復習するところから始まります。
今回は、関内の寿地区で青少年広場や学童保育に長年携わってきた石井淳一氏の経験から、貧困や生きづらさにも注目しながら、豊かな学びや生活とは何なのかを考えました。
かつて寿地区は日雇い労働者が集まる街でしたが、現在は高齢化率も高く福祉的ニーズの高い街に変わっています。また、5年で人口の3割が他地区より流入してくるという特徴的な面も持ち合わせています。更に、一見すると寿地区が特別なようにも見えてしまいますが、実は寿が抱える問題は社会の中で静かに進行しており、その点で他地区と地続きで、先立って課題が浮き彫りになっているのが寿の社会と言えるのです。
驚いたのは、住環境としては決して住みやすくない寿地区に、人々が次々と流入してくるという事実で、それは他地区で住みづらくなった人々が「寿にある自由を求めてやってくる」ということでした。寿地区は、一般社会では受け入れられない「良くないこと」が許される場でもあり、誰もが排除されることのない街です。
さて、寿の子ども達ですが、時代により年齢層やバックグラウンドが変化しているようですが、空間としても時間としても居場所がなく、結果として何らかの困難を抱えた子どもがこぼれ落ちるように集まって来ます。そして、自己肯定感が低い傾向があります。
そこで、子どもの学び・居場所に関わるいわば支援者がこども達を良くしようと指導する立場をとれば、たちまちそっぽを向かれてしまいます。そんな中で、石井さんは役割としての自分と本当の自分を分けて考え、「子どもたちと同じ時の流れにいることが大切!」と語りました。
キチンとすることを求められて出来なかったからこぼれ落ちて来たのだから、一線を引きつつも対等な目線で寄り添い、関係性をつくることが大切ということでした。彼らを良くするのではなく、そのままのあり方に寄り添い一緒に遊び、生きる力が自然に芽吹くのを見守るような関わりが好ましいようです。
一方、寿には多様な困難を抱えた存在が集まり、自ずと子どもたちが成長し助け合ったりする姿も見られるそうで、「若者集団がより機能する拠り所となる場づくり」が大切とのことでした。「集まる」という部分がキーで、そこに居場所を感じることで関係性においての貧困を脱し、時に繋がり合いながら生きづらさを乗り越えようとする姿が見られます。
寿で繰り広げられる育ちの場面から、生きづらさとは何なのか、居場所とはどんな場所なのかを考えるヒントが貰えた気がしました。

